2019/02/21
静音 PC クラスタシステムを導入頂きました。
九州工業大学 石原大輔 准教授にお話を伺いました。
今回導入された PC クラスタシステムは、「計算バイオミメティクスによる生物規範型 MEMS 」、「マルチフィジクス強連成解析による昆虫規範型 MEMS 飛行体の開発」の研究において必要な構成になっており、全2ノード並列計算以外にも各計算ノードを単体で利用できるようになっています。また、運用上静音性が必要なため、縦型静音ワークステーションをクラスタ化し、さらに InfiniBand EDR(100Gbps)でのノード間通信の高速化を取り入れたシステムとなっています。
HPC テックではクラスタ設定から性能評価及び設置までお手伝いをさせていただきました。
■手法
a. 電流‐熱‐構造連成解析
接触電気抵抗を考慮した電流解析、接触熱抵抗と溶融を考慮した熱伝導解析、熱弾塑性
大変形大ひずみ接触解析を組み合わせた連成解析手法および連成解析フレームワーク、
マルチスケール連成解析法を開発しています。
b. 構造‐流体‐電界連成解析
階層的分解アプローチに基づき、構造、流体、電界の強連成問題に対する新しい有限
要素解法を開発します。またそれを応用して新しいMEMSの開発を行います。
c. 電磁構造連成解析
核融合炉や磁気浮上列車などの導電性構造物に生じる磁気減衰現象の有限要素解析手法、
連成振動特性、連成に伴う数値不安定性に関する研究を行っています。
d. 流体構造連成解析
生物や膜構造などに生じる大変形・大移動する構造と流体の強連成問題のための新しい
有限要素解析方法を研究しています。
■対象
a. 抵抗スポット溶接
電流、発熱、材料の接触と変形に伴い複雑な連成現象が生じており、連成有限要素解析
によって現象を解明し溶接条件設定に応用しています。
b. 昆虫羽ばたき飛行
昆虫羽ばたき飛行の力学に関する研究を行っています。またそれを応用した昆虫規範型
MAVの開発を行っています。
c. MEMS
MEMSに生じる連成現象の有限要素解析手法や構造設計手法に関する研究を行っています。
その成果を生物規範型MEMSに応用します。
d. ピエゾアクチュエータ
ピエゾアクチュエータの有限要素解析手法に関する研究を行っています。バイモルフアク
チュエータやSAWアクチュエータの解析に適用します。
九州工業大学 石原研究室ホームページ
http://www-solid.mse.kyutech.ac.jp/
CPU:28 Corex 2 CPU x 2 Node 合計 112 Core
現在、独自に開発した流体構造連成現象のプロジェクション解法(Int. J. Numer. Meth. Eng., Comput. Model. Eng. Sci.など)を用いて、昆虫羽ばたき飛行のメカニズムを解明しようとしています。
昆虫羽ばたき飛行は、本質的に非定常かつ3次元の流体構造連成現象と考えられ、これまでに流体構造連成による翼運動の自動化を明らかにしてきました(J. Exp. Biol.,Bioinspi. Biomim., Phys. Rev. Eなど)。今後は、翼構造の複雑性や操縦性に取り組みたいと考えています。そのためには、現在の翼構造モデルの解析規模を数十倍にする必要があり、今回の計算機によってそれを実現したいと考えています。
▼クリックすると拡大します。
流体構造連成解析による昆虫飛行操縦性シミュレーション
石原先生 ご多忙な中 貴重なお時間を頂きありがとうございました。
これからも少しでもお役にたてる様、お手伝いをさせて頂きます。