2014/02/10
GPGPU高速計算機を導入頂きました。
東京大学生産技術研究所田中研究室では、実験、シミュレーション、理論の間で密接かつ有機的に連携しながら、ソフトマター・液体の基本物性について、主にその時空階層性に焦点を当て研究しています。
研究室ホームページ
http://tanakalab.iis.u-tokyo.ac.jp/Top_J.html
液体状態は、気体・固体状態とならび、最も重要な物質の存在様式であるにもかかわらず、その物理的な理解は、気体・固体(結晶)状態に比べて著しく遅れています。我々のグループでは、単純液体ならびにソフトマターを対象として、液体の基本的性質にかかわる未解明問題について、これらの系が共に内包している時空階層性に焦点を当て研究を行い、現象を支配する統一的な物理描像を描くとともに、単純液体・ソフトマターの物理学に新しい展開をもたらすことを目標としています。
具体的には以下のようなテーマを研究しております。
(1) 水型液体の熱力学・運動学的異常の解明
(2) 単一成分液体の液体・液体転移現象の起源の解明とその応用
(3) ガラス転移現象の解明
(4) 液体の階層性と結晶化の素過程(結晶核形成)の関係の解明
(5) 液体・ガラス状物質の非線形流動・破壊現象の解明と制御
(6) 液体が流体力学的相互作用を介してソフトマター・生体系の動的な挙動に及ぼす影響の解明
(7) ソフト・バイオマターの相転移ダイナミクスとパターン形成
http://tanakalab.iis.u-tokyo.ac.jp/Research_J.html
本研究室では、現在、教授・助教・特任助教・特任研究員・技術職員と7名の大学院生で上記の研究テーマに取り組んでいます。
以前よりHPCテックの方からお話を伺い、GPGPUに興味を持っておりました。これまでもCPU コアをたくさん搭載した高速計算機を用いてきましたが、GPUが得意としている多粒子系シミュレーションをおこなうにあたり、最新のNVIDIA GTX780TiというGPGPU Card (2800コア) を各ノードに3台搭載した最速の計算機を用いて、これまで達成できなかった長時間スケールの現象の研究に挑んでいます。
計算機本体には、1ノードあたり、CPU(8並列)が2台、16GBのメモリが搭載されており、2880コアという驚異的なコア数を持つNVIDIA GTX780Ti というGPGPU Cardも3枚搭載されています。計算ノードは、合計8ノードあり、日本国内でも最高に近いスペックを持つマシンであると考えています。
我々のグループでは、これまでクラスタマシンを用いておらず、設置場所・電源等が研究の進捗において大きな障壁となってきました。今回このクラスタマシンを導入することで、場所・電源等の問題を解決できただけでなく、何よりも、大規模な並列シミュレーションやシステムの大きな計算を行うための非常に効率的な環境が整ったので今後は十分に活用していきたいと思っています。クラスタマシンとは別に、NVIDIA GTX780Tiを搭載したワークステーションも導入し、クラスタマシンを用いる前の試験的な計算に利用する予定です。これらのマシンを駆使した今後の研究の展開に期待しています。