2018/01/16
超分子モデリング・シミュレーション用サーバを導入頂きました。
東京工業大学 小長谷明彦教授にお話をお伺いしました。
小長谷研究室様ではこれまでに情報学、分子生物学、医薬情報学を幅広く研究されてきました。
現在、小長谷研究室様では以下のテーマに注目されています。
・分子ロボットに関する研究
・分子ロボット倫理に関する研究
・IT 技術と芸術の融合に関する研究
・AI 創薬に関する研究
東京工業大学 小長谷明彦教授
▶ 概要
・1千万超粒子シミュレーションによる微小管滑走運動の再現
・Lennard-Jones ポテシャルによる微小管作用の実現
・GPU を利用した三次元実時間可視化シミュレーション
▶ 微小管滑走運動
・ガラス基板上に固定化した分子モーター(キネシン)による微小管の滑走運動。
・微小管間相互作用により、並進運動、乗り越え運動、リング運動パターンなどを形成
▲クリックすると拡大します。
▶ 微小管粒子モデル
・微小管をセグメントの列として実現
・セグメントごとに微小管同士および微小管と分子モーターの相互作用を計算
▶ 集団運動シミュレーション
・微小管滑走運動パターンはシミュレーションパラメータに強く依存
(F:Flocking Radius, MT:Microtubule Length)
参考文献: Gregory Gutmann, Daisuke Inoue, Akira Kakugo and Akihiko Konagaya
Journal: New Generation Computing, 2017, Volume 35, Number 2, Page 157-180
DOI: 10.1007/s00354-017-0011-5
▶ 公開シミュレーション動画
Microtubule Gliding Simulation Video
http://konagaya-lab.com/mtga/microtubule-gliding-simulation-video/
GPUを用いたモデリング&シミュレーションから原子間力顕微鏡(AFM)を用いた画像解析まで、
分子ロボットのような生体分子を題材とした先端的研究課題に取り組んでいます。
HPCテックさんは GPU 搭載サーバの貸出もしており、導入前に性能評価をさせていただきました。テスト内容は TESLA P100 と Quadro GP100 の NAMD によるベンチマークテストです。並列 GPU 性能においては NVLink を使った GP100 の方が PCIe 接続の P100 よりも速くなることを期待したのですが結果は下記のようになりました。色々工夫すればさらにチューニングできたのかもしれませんが貸出期間の関係もあり、今回はここまでとさせていただきました。
<テスト環境>
・CPU:Intel Xeon Gold 6150(18Core、2.7GHz)x2
・Memory:DDR4-2666 192GB
・GPU:NVIDIA TESLA P100
NVIDIA Quadro GP100
研究室では、このサーバを使いDNAオリガミなどの超分子モデルの分子動力学計算の研究を進めています。現在は商用ソフトウェアを用いてGPU単体で実行していますが、将来的には超分子モデルに特化した分子動力学ソフトウェアおよび粗視化シミュレーションを並列GPU環境で開発したいと考えています。本格的な運用はまだまだ先になりますが、最新の GPU を使うために少しずつチューニングしベストな状態に持って行けたらと思っています。
左:HPCテック 正田顧問 右:東京工業大学 小長谷先生