2014/03/19
メニーコア高速高密度低消費電力計算機を導入頂きました。
小原・菊川研究室の菊川先生にお話を伺いました。
小原・菊川研究室では、液体やソフトマター及びそれらによって形成される界面を対象として、その特性を決定する分子論的メカニズムの解明を行い、この知見に基づいた熱流体の輸送特性・界面特性の「分子設計」を主な研究課題としています。
熱流体現象を分子動力学に基いて解析することは、現象の本質的なメカニズムを理解して現象を制御することにより、必要な熱流体特性を「設計」するための基礎となります。また、先端技術においてしばしば見られる、熱流体物性や界面などマクロなモデルが破綻する極限的な現象に対しても、分子運動レベルの熱流体解析は極めて有効です。
応用分野では、MEMS/NEMS技術と結びついた流体応用技術であるマイクロ/ナノフルイディクスとして、バイオ関連技術や生体内の微細な熱・物質輸送のメカニズムに学んだバイオミメティクス流体機械の展開につながります。
分子熱流動研究分野(小原・菊川研究室)では、分子スケールの観点から熱流体現象の理解を深め、その応用を探ることを目的として、研究を進めています。
--- 界面輸送特性の研究 -------
固液・気液など異質の物質が接触する界面においては、特異な流体構造と熱・運動量・物質輸送特性が発現し、NEMSや多孔質体、微粒子懸濁液など微細系の総括的特性を支配しています。分子動力学解析によりそのメカニズムを明らかにすると共に、必要な界面特性を発現する分子及び微細構造を探索するための基礎研究を行っています。
--- 分子表面修飾の研究 -------
自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer、SAM)をはじめとした分子スケールの表面修飾技術は、固体表面の物理化学的特性を制御する技術として、種々のプロセスやデバイスへの応用が進んでいます。特に、有機分子の自己組織化や薄膜状態での自発的構造化を利用してボトムアップにより表面修飾を行う技術は、柔軟かつ適応性の広い方法として期待されています。これらの分子修飾表面を介した熱・物質などの輸送特性は、工学応用上極めて重要であり、分子動力学シミュレーションを用いて、その輸送機構を明らかにする研究を行っています。
経済産業省より事業委託を受けた未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合の協力のもと、様々な熱流体が示す熱輸送特性に関する知見を蓄積することにより、高効率な熱輸送媒体を分子レベルから設計する研究を進めております。また、分子表面修飾に関する研究では、より実応用・実現象に近い計算モデルを対象とすることで、工業・産業応用に役立つ分子動力学シミュレーション技術の可能性を模索しています。
小原・菊川研究室ホームページ
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/mht/index.html
分野別紹介ホームページ〔ミクロ熱流動研究部門 分子熱流研究分野〕
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/jpn/ncfhtd_mhtl.html
分子熱流体工学は、分子動力学等の物理化学的手法を熱流体工学に取り入れることによりマイクロ・ナノスケールの流動ダイナミクスを解明しようとする研究分野で、機械工学において1990年代の初頭からその取り組みが始められました。当研究室は、この分野にその創生期から注力し、熱流体科学において今や重要な一領域となっているナノ熱流体工学で先頭を走るべく、最新の計算機を導入して大規模、長時間の計算を『より効果的に、より早く』したいと思いHPCテックさんに相談をしました。
今まで使用していた計算機よりもコア数が多くクロック数の高いバランスの取れた最新のCPU“Intel Ivy Bridge”【10コア、3.0GHz】を1ノード辺り2個搭載しており、メモリーアクセスの効率(バンド幅)が高く、ノード内並列でも高い性能を発揮しましたので狙い通りでした。 メモリは1ノード辺り合計64GB搭載し、1コア辺り3.2GBのメモリ空間があり20コア(並列)64GBのメモリ帯域が確保できますので大きな計算に十分耐えられます。そして、この高速計算機を4台、2Uの省スペース高密度筺体で低消費電力にて運営出来ることが大きなメリットだと考えています。
HPC分野における技術革新のスピードは益々高速化し多様化しているので、これからもソフトウエアレベルの開発のみならず、計算機資源の拡張を行い革新性の高い研究を進めて行きたいと思っております。