2017/01/13
Deep Learning 用 Entry Serverを導入頂きました。
鳥取大学 システムデザイン研究室 小山田雄仁助教にお話を伺いました。
鳥取大学システムデザイン研究室様は、人・モノ・環境のセンシングに関して合理的な処理の方法、その情報を読み解く方法、映像表示など、画像を中心に基礎から応用まで研究されています。 画像編集や超解像の処理理論、画像を読み解くコンピュータビジョン、計算機による視覚の拡張強化など、生活社会やバイオ医用によく機能するよう取り組まれています。
▶ 多元画像のマッチング
画像のマッチングとは複数の画像の共通部分を発見する処理を意味し、様々なコンピュータビジョンの研究の根幹を担う処理です。従来まで視点や撮影時刻の異なる画像のマッチング、大容量の画像の効果的・効率的なマッチングが盛んに行われてきました。
本研究では、多元画像(撮影装置が異なる画像)のマッチング問題を、ハイパーグラフマッチングによって解くことを目的としています。ハイパーグラフの関係を表す重みの計算にディープラーニングを応用する予定です。
画像のマッチング結果
▶ 医療診断支援
医療診断支援のための画像解析の研究をスタートしました。画像解析による医療診断支援の研究は古くから行われていますが、この2、3年でディープラーニングの使用が注目・標準化されてきました。
我々が行う研究では、医用画像に加えて様々な診療データも統合して、特定疾患の有無や重症度及びその信頼度を医療従事者に提供する診断支援システムの構築を目標としています。また、医用画像・診療データを基に医学生・医療従事者の習熟度に合わせた学習教材作りにも興味があります。
▶ 学習支援システム
人の動作を対象とした学習支援システムの研究を行っています。モーションキャプチャ等で取得した人の動作データを扱います。教師となる熟練者の動作をあらかじめデータベース化しておき、学習者の動作を入力します。データベース中の動作データと学習者の動作データを比較し、熟練者と学習者の動作は(1)身体のどの部分の動きが違うのか、(2)どのよう違うのか、(3)どのように改善・修正すれば良いのか計算・提示する学習支援システムの構築を目標としています。
現時点では特徴抽出、データの比較を独立して設計していますが、今後ディープラーニングによる統合的な処理を行うよう改善していく予定です。また、支援情報の可視化・呈示という人の感覚が鍵を握る処理にディープラーニングによる処理が応用できないか模索しています。
上記の研究テーマにおける(1)データ解析・評価、(2)機械学習を行うためにディープラーニング専用サーバを導入しました。大量のデータを高速に処理するため NVIDIA TITAN X Pascal (12GB)、大容量メモリ(128GB) を搭載した GPU サーバを選択しました。OS とディープラーニングに必要なフレームワークのセットアップや手間のかかる動作検証などをHPCテックさんに依頼しました。システム導入後のトラブル対応も迅速に行っていただき、現時点で非常に満足しています。
今まで使用していた計算機環境では実現不可能だった高速な学習・計算が可能となり、研究における試行錯誤のサイクルをより多くできるようになりました。この環境を最大限活用し、画像処理・Computer Vision の問題に限らずディープラーニングの可能性を模索していきたいと思います。