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導入事例

2014/11/13

[導入事例] 慶應義塾大学 山内研究室 様

最新の Intel CPU “Haswell-EP” 搭載の高速計算機 を導入頂きました。

研究内容

 

研究室・研究内容の紹介

 私の所属している慶應義塾大学理工学部物理学科の理論研究室は10名のスタッフによる、複数のグループの集まりです。 物性物理学、統計物理学、素粒子原子核宇宙、量子情報、生物物理など、 幅広い分野の理論研究を行っています。 大学院に入った時点でグループ (指導教員) は決まっていますが、 それぞれのグループでの研究活動と並行して、 幅広い視野を得るために理論研究室全体としての活動も行っています。 週1回の理論研全体のセミナー「理論コロキウム」を行い、 大学院生にはさまざまなグループの院生、教員がいます。 日常的に多分野の教員や学生と接点を持ち、 幅広い知識と感覚を身につけることができます。その中で山内研究室では、例えば以下の様な疑問からスタートします。ここに皆さんの知らない物質があります。実験的な測定はできません。この物質の性質を知りたいときには、皆さんはどうしますか?分かっているのは、その物質を作っている原子の原子番号と大体の位置だけだとしましょう。量子力学を学んだことのある人なら、Schroedinger方程式を解けば良い、と答えるかも知れません。その通りです。コンピュータを駆使して、できるだけ真面目にSchroedinger(Dirac)方程式を解いて、原子、分子、固体等の性質を理解しようとするのが、第一原理計算という研究手法です。しかし、現在最高の計算機でも厳密と言って良い精度でSchroedinger方程式が解けるのは、非常に小さい分子(原子数で数個程度)です。そのため色々な工夫(近似)をして大きな系を計算できるようにします。そのような工夫の一つが密度汎関数法です。私はこの方法を使って、半導体を初めとした様々な物質に関して、実験では知ることの難しい原子スケールの物質構造と性質について研究しています。

 

 山内先生ご紹介ページ
 http://www.phys.keio.ac.jp/faculty/yamauchi/syousai/index.html

 

最近の研究活動について教えて下さい

 研究のキーワードは 第一原理計算 (密度汎関数法)、バンド計算、電子状態計算、物性理論です。

  ・固体物理学物質科学
  ・第一原理計算コード開発新規計算手法開発
  ・半導体物性格子欠陥クラスターの物性

 

 

導入システム

 

導入システムと使おうと思ったきっかけを教えてください。

 殆ど全ての物質は電子と原子核からできていて、原理的にはこれらを量子力学に則って取り扱えば、全ての物質の物理的な性質は予測できるはずです。このような観点から、電子(時には原子核も)を量子力学的に扱い、実験的に求めたパラメータを用いずに、ほとんど理論計算のみから物質の性質を導きだそうというのが第一原理計算分野でおこなわれているテーマです。用いられるパラメータとしては、原子番号と原子質量ぐらいでしょうか。このようなアプローチはいくつかありますが、その中で密度汎関数法を基礎にした方法を主に取り扱っています。これは、固体物理におけるいわゆるバンド理論の基礎と密接に関係しているもので、物性物理分野では基盤的な役割を果たしています。

 本研究室では、このような密度汎関数法にかかわる計算コードを学外の共同研究者も含めたグループ内で自作しているため、新手法開発、既存手法の実装を含めて最先端の計算手法を基礎から研究しています。対象としている物理系は、半導体を基礎としたものが多いですが、第一原理計算手法自体は、対象をあまり選びませんので、今後広い分野を視野に研究を進めていきたいと考えています。

 今回発売になった最新のCPU Haswell-EPは高いパフォーマンスが期待できるため導入したいと考え、ベンチマークを行ってみました。使用したコードは、東大院情報理工の吉本芳英准教授が開発しているxTAPPで、平面波基底Hybrid並列による第一原理計算を行うもので、一般公開もされています。

http://ma.cms-initiative.jp/ja/listapps/xtapp

 

これまでの計算機と比べた今後の抱負をお聞かせ下さい

 今回新しく発売になったIntel Haswell-EP は多くの技術革新が有ります。特にCPU Core数は大幅に増えて今回採用したCPUには14 Core搭載されています。今回の計算機には1ノードの計算サーバなので合計28 Core搭載されています。上記のコード(xTAPP)で、512原子、1000原子系の電子状態計算を行うとそれぞれ約30分、200分かかります。ベンチマーク用に512原子の系で1コアのみで計算させると11.3倍の時間がかかりました。28倍にならないのは、並列化できない部分があることや、少ないコア数で計算しているときに動作クロックを上げるブースト機能のためだと考えられます。

 実際の研究では、1日から数日かかる計算も多く、10倍以上計算時間がかかっては、思うように研究が進みません。Core数の多い計算機は研究に必須の設備となっています。更に、今年のIntel Haswell-EPと昨年のIvy Bridge-EPを比較すると、512原子系で、単純にCore数と動作クロックから見積もられるパフォーマンスの向上予測を15%上回るの改善が見られました。これはメモリーがDDR3からDDR4へ変更されたことが主な原因だと考えています。

 今後もチューニングによりパフォーマンスの向上が期待できると考えています。

最後に

 山内先生 ご多忙な中 貴重なお時間を頂きありがとうございました。
 弊社も先生のこれからの研究活動に少しでもお役にたてれば幸いです。

 

 

 

 

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