2015/01/06
クラスタ型高速計算機を導入頂きました。
宇宙航空研究開発機構 航空本部 鈴木正也様にお話しを伺いました。
航空機用ジェットエンジンの環境適合性向上・安全性向上を目指した研究を進めており、中でも大気中の砂・液滴・火山灰といった微粒子吸込みに対するジェットエンジンの安全性向上については数値計算を中心とした取り組みを行っています。エンジンが微粒子を吸い込むことにより、構造部材のエロージョンが発生するとともに、ファンや圧縮機では着氷、タービンでは粒子付着といった現象により、時として事故に発展することもあります。
これらの現象は、混相流・相変化・材料損傷・付着などのマルチスケール・マルチフィジックス問題になります。こうした複雑な現象を実験で再現するのは技術的に難しく、また高コストな実験が要求されることがしばしばです。私たちは弱連成解析とオイラー・ラグランジュ法をベースとした計算手法を構築し、サンドエロージョン・着氷・粒子付着の数値計算を行ってきました。
最近は、これまでの研究をさらに発展させ、液滴衝撃エロージョンや粗大液滴による着氷の再現に向けて、計算手法の高度化・高精度化に取り組んでいます。
研究を進めるにつれて、これまでよりもモデリングが複雑になり、計算規模も翼一枚から数段の翼列へと拡大しつつあります。計算機に要求されるスペックも徐々に高くなっており、大規模並列計算を行うために新たに最新クラスタ型計算機を導入しました。
これまで計算機3台3ノードにて数時間かかっていた計算を更に短くするべく、新たに2台2ノードを追加し合計5ノードにいたしました。台数が増えた分 Infiniband が効果的に作用しますので、全88コアをフルに活用したクラスタ計算機を今後さらに大規模計算へと活用して行きたいと思います。