2015/06/05
MPI並列高速計算機を導入頂きました。
新潟大学工学部建設学科 応用力学研究室 紅露一寛先生にお話を伺いました。
私たちの研究室では、土木工学における応用力学・計算力学・鉄道力学を専門分野として、さまざまな力学現象の解明や解析技術の開発に取り組んでいます。特に私は、軌道振動やバラスト道床沈下などの鉄道における力学的諸現象の解明と、汎用数値解析手法の一つである境界要素法の解析効率の向上に取り組んでいます。
応用力学研究室ホームページ
http://applmech.eng.niigata-u.ac.jp/
私たちの研究室では、これまで鉄道における車両・軌道系の連成振動解析や、繰り返し荷重作用下でのバラスト道床沈下現象のシミュレーションに取り組んできました。特にバラスト道床沈下現象は、保守が必要となるまでに非常に多くの荷重の繰り返し作用を伴いますが、これをシミュレーションで再現しようとすると、計算負荷が非常に大きくなるのがネックでした。また、粒径の小さくない砕石粒子の集合体であるバラスト材の繰り返し変形挙動の定量予測の際には、力学挙動を支配する各種因子のばらつきが非常に大きいため、これらのばらつきの影響を考慮した上で解析結果の信頼性も明らかにしたいと考えています。そこで解析時の計算負荷の軽減を目的として、24コア、256GBメモリを搭載した最新の計算機を導入した次第です。
近年、土木工学の分野では、単発的または複合的に発生する自然災害への対処や、地球温暖化に代表される環境問題への対応、供用年数が長くなってきている土木構造物の維持管理・補修・長寿命化などの工学的問題・課題の解決において、コンピュータシミュレーションの積極的な活用が試みられています。また、鉄道分野でも計算力学技術・成果の積極活用が検討されています。
そのため今後は、今回導入したこのハイスペックの計算機をフルに活用し、これまで計算機資源の点から扱うことの出来なかった現象の解明や問題の解決に取り組みたいと考えています。