2015/07/02
大容量メモリ搭載高速計算機を導入頂きました。
東北大学 流体科学研究所 太田研究室 安西眸先生にお話しを伺いました。
太田研究室では、主に医用生体工学の分野についての研究をしております。脳卒中や心臓病を安全に治せる医療機器の発展を目指し、 医用生体工学で患者を救う研究を行っております。
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●医療機器の流体力学的解析最適化デザイン(実験・計算)
▶ ステントデザイン最適化シミュレーション
▶ 骨髄液の流れのシミュレーション
▶ 流れ負荷と細胞の形態変化
●国際標準化
▶ 骨バイオモデル
▶ 効率的なステント開発
▶ 医療機器の評価・開発
●ゲルや高分子材料を用いた生体のモデル化(血管などの軟組織、骨などの硬組織)
▶ 心筋焼灼カテーテル評価用モデル
▶ PVA-Hなど複合材料を用いた口腔モデル
▶ PVA-Hを用いた血管バイオモデル
脳動脈瘤の血管内治療において、ステントはコイルでは治療できない脳動脈瘤へ適用が可能とされ、近年注目を浴びています。しかしながら、ステントと血流との影響はまだまだ分からないことが多く存在します。そこで私たちは、MRIやCTから得られた医療診断画像を基に再構築した血管の3次元形状に、コンピュータ上でステントを配置して血流シミュレーションを行う方法を構築しました。これによりコンピュータ上でのステントの評価が可能になりました。現在は、ステントの位置や形状によって脳動脈瘤内の血流がどのように変化するのかを解析し、血流を効率よく減少させるステントデザインを提案しています。また、他国との共同研究やイベントの共同開催などをして、本研究分野を盛り上げています。
ステントは金属製のチューブで網目状になっています。
狭窄治療における血管拡張に広く用いられ、再狭窄を防ぐ薬剤溶出ステントが開発されるなど、狭窄治療に対するステントの研究が以前から行われています。
ステントを瘤の入口に置くことで瘤に流れる血流を遮断し、瘤内の血流速度を小さくします。
ステントを留置した脳動脈瘤血管モデル画像
ステントを瘤の入口に置くことで瘤に流れる血流を遮断し、瘤内の血流速度を小さくします。
太田研究室ホームページ
http://www.ifs.tohoku.ac.jp/bfc/
私たちの研究室では計算力学において血流・治療のコンピュータシミュレーションを行っており、これまでも最新の計算機は導入してきましたが大規模データを扱う計算まではできませんでした。これまでの研究を更に向上するためにメモリ容量の大きい計算機で数値流体解析を行ってみたいと言うのが動機でした。
今回はサーバルームで使うような計算機ではなく、居室に置いても静かなワークステーションタイプでメモリ容量も 256GB を搭載出来る HPCT-W110s を選択しました。
ステントを配置した血流シミュレーションを更に進め、ステントの評価やステントデザインに、この計算機を活用して行きたいと思います。