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導入事例

2016/01/08

[導入事例] 佐賀大学 理工学部機械システム工学科 只野裕一 様

大容量メモリ搭載静音ワークステーションを導入頂きました。

研究内容

 佐賀大学 理工学部機械システム工学科 只野裕一先生にお話を伺いました。

 

研究室・研究内容の紹介

 只野裕一先生が所属する理工学部機械システム工学科・先端材料システム学分野では、種々の材料の組織レベルでの変形や特殊環境下における材料特性など、さまざまな未解明の問題を明らかにするため、力学的・材料学的観点から実験的な研究を進めるとともに、実験だけでは解明困難な現象を理論やコンピュータシミュレーションによって明らかにすることにも注力しています。5名の教員がそれぞれ独立した研究室を持ち、実験から理論、シミュレーションまでを幅広くカバーする中で、只野先生の研究室では、結晶スケールの力学挙動に着目した金属材料の材料モデルの構築とシミュレーションに取り組まれています。

 

結晶塑性均質化法に基づくマグネシウムのマルチスケール解析

 深刻化する環境問題への対応の一環として、マグネシウム合金を構造材料として利用した製品開発への関心が高まっています。マグネシウムは実用金属の中で最も軽い材料です。このため、従来よりも軽くて強い構造物をつくることができ、結果として省エネルギー化への貢献が期待できます。航空機や自動車、身近なところではノートパソコンや携帯電話など小型電子機器の構造材料として、幅広い分野で近年急速に利用が拡大しています。
 構造材料として広く利用されている金属材料をミクロの視点から見てみると、鉄鋼材料は体心立方構造(BCC)、アルミニウム合金は面心立方構造(FCC)を持つ金属です。一方、マグネシウム合金は結晶構造として六方最密構造(HCP)を有しています。この構造の違いが材料挙動に大きな影響を及ぼすため、マグネシウム合金の挙動は従来の材料モデルでは十分に表現できないことが知られています。マグネシウム合金の大きな問題点の一つとして、特に冷間での加工性が悪いことが挙げられ、効率の良い製品開発のために、マグネシウム合金の変形特性をコンピュータシミュレーションで求める事へのニーズが高まっています。

 Fig. 1 金属の結晶構造

 

Fig. 2 結晶塑性均質化法によるマグネシウムの数値解析例
(材料の加工方法によって生じる微視的結晶組織の影響で、変形挙動が大きく異なっています)

 

 このような結晶スケールの挙動を反映できる材料モデルの1つが結晶塑性モデルです。このモデルを利用することで、金属の微視構造を考慮したコンピュータシミュレーションを行うことが可能となり、より精度の高い材料挙動予測が可能となります。しかしながら、マグネシウムをはじめとするHCP金属への適用は歴史が浅く、未だ課題も多く残されているのが現状です。本研究テーマでは、結晶塑性モデルを用いたマルチスケール解析により、純マグネシウムやマグネシウム合金の材料挙動を明らかにし、マグネシウムを用いたものづくりに貢献できる数値解析手法の構築を目的としています。

Fig. 3 結晶粒スケールの微視的構造を考慮したマグネシウムの数値解析例
(結晶粒内に強い不均一性が現れています 左:相当応力 右:相当塑性ひずみ)

 

 佐賀大学 理工学部機械システム工学科 先端材料システム学分野ホームページ
 http://www.me.saga-u.ac.jp/sentan/

導入システム

今後の展望

導入システムの狙いや目的を教えてください

 今回導入した計算機は上記研究内容で述べたように、マグネシウム合金をはじめとする種々の金属材料の変形特性をコンピュータシミュレーションで解析するために導入をしました。解析例にもあるように、微視構造に依存して変形挙動が大きく異なり、結晶粒内に強い不均一性が現れます。このような材料挙動は、従来の材料モデルでは十分に表現することができないため、最新の実験結果に基づいてモデルを高精度化することが求められます。しかし、モデルを高精度化すると、一般に計算コストも増大してしまいます。例えば、マグネシウムを対象として数年前に当研究室が構築したモデルがあるのですが、計算機能力が足かせとなり、これまで解析できる問題の規模が限られていました。新たに導入した計算機を使えば、より実用性の高い大規模な問題が現実的な計算時間で解析できるため、モデルの妥当性検証や実用問題への応用が期待できると考えました。
 研究室スペースの都合上、計算機は居室で運用することが前提となるため、今回はサーバルームに置くようなタイプではなく、机の横に置いても静かなワークステーションタイプを探しました。静音と言うと水冷ワークステーションが思い浮かびますが、静音性は空冷と差ほど変わらないのでメンテナンス性と拡張性に優れた空冷タイプの静音ワークステーションを選択しました。解析には大容量のメモリが必要で合計256GBのDDR4メモリと、合計20コアのCPUを搭載しています。CPUにも幾つかバリエーションがあるそうなので最速のクロックを持つCPUにしました。
 大容量メモリ搭載静音ワークステーションを導入したばかりですが、マグネシウムを用いたものづくりに貢献できる数値解析手法の研究を更に進めて行きたいと思います。

最後に

 只野先生 ご多忙な中、貴重なお時間を頂きありがとうございました。
 これからも研究活動に少しでもお役にたてる様、弊社も微力ながらお手伝いをさせていただきます。

 

 

 

 

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