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2020/06/01

[TECH Report] AMD Ryzen Threadripper 3990X 検証

TECH Report は HPC テックスタッフからの情報発信です。

 

 

64コア+大容量キャッシュを所持したハイエンドデスクトップ向け CPU AMD Ryzen Threadripper 3990X が 2月に発売されました。
今回はこの CPUの計算能力に関して検証を行いたいと思います。

 

AMD Ryzen Threadripper 3990X 仕様

 ・CPUコア数:64
 ・スレッド数:128
 ・基本クロック:2.9GHz
 ・最大ブーストクロック:最大 4.3GHz
 ・L1キャッシュ:合計 4MB
 ・L2キャッシュ:合計 32MB
 ・L3キャッシュ:合計 256MB
 ・メモリー・チャネル:4
 ・PCI Express バージョン:PCIe 4.0
 ・デフォルトTDP/TDP:280W

 

 

検証環境

 環境1 環境2 環境3
CPU Intel Xeon
Silver 4110 x2
(8C / 2.1GHz)
Intel Xeon
Gold 6248R
(24C / 3.0GHz)
AMD Ryzen
Threadripper 3990X
(64C / 2.9GHz)
Software Python3.7 + pytorch1.5

 

 

比較方法

mnist を使用し並列に動作させた際の完了時間を比較します。

 

mnist とは手書き文字認識の為のデータセットで、機械学習の入門でよく使用されています。28×28 ピクセルの 0から 9までが書かれた手書き文字の画像が、学習するための 60,000枚とテストするための 10,000枚用意されており、正解ラベル情報も付与されている為簡単に利用してモデルを試す事ができます。

 

 

実行結果

数値が高いほど計算完了まで時間が掛った事になります。

 

 

実行結果

並列数を増やすと Threadripper 3990X は計算完了までの時間が大きく伸びる結果となりました。64コアに対しメモリー・チャネルが 4つしかない為、今回の様に細かいデータの出し入れが大量に行われるとアクセス頻度が高くなり、メモリバスの奪い合いが起きてしまいます。その結果メモリ帯域が小さくなりその他の CPU よりも計算時間が掛かる結果となったようです。
64Core + 2.9GHz という高いスペックを持った CPU ですが、ソフトや計算内容など環境に左右されやすい様に感じました。動画のエンコード等、大きなデータを扱う事が得意なようです。逆に細かなデータを扱う一般的な機械学習等は不向きかもしれません。

 

 

HPC TECH Engineer : Fujimoto