2020/09/29
TECH Report は HPC テックスタッフからの情報発信です。
弊社計算機をご検討戴く際、ご使用になる環境や構成、目的等により選定するネットワークも都度異なりますので、合わせてネットワーク選定のご参考になりますと幸いです。
コンピュータ間のデータ通信では広く Ethernet が、データセンターや HPC など広帯域が必要なところで InfiniBand が用いられている。InfiniBand は Ethernet に比べて通信の信頼性が高く遅延も短いため、スーパーコンピュータの計算性能ランキングである Top500 にランキングされているシステムのうち、特に高性能なシステムを中心に採用 されている。また、それぞれの規格においてメタルケーブルと光ケーブルが用意されており、おおむね 10Gbps 以下の通信では低コストなメタルケーブルが用いられることが多いが、それ以上では高速通信に対応できる光ケーブルが用いられることが多い。
InfiniBand と Ethernet で定義されている代表的な通信速度と見解を表に示す。
通信速度 | InfiniBand | Ethernet | 見 解 |
---|---|---|---|
400 Gbps |
- | - | 現時点で最速の規格だが今のところ PC 向けのカードは未発売。純粋な Ethernet のものは登場直後はポート単価が極めて高額になると考えられる。 |
200 Gbps |
◯ | ◯ | 現時点のイチオシ。速度当たりの単価が安く、HDD や SSD だけでなく CPU の速度も十分に活かすことができる。 |
100 Gbps |
◯ | ◯ | 大量の HDD を持つ NAS や SSD からの転送を活かすことができ、200Gbps との価格差が小さくなってきている。 |
56 Gbps |
◯ | - | InfiniBand において現行品の最も低価格なラインナップになるが、上位機種との価格差が小さくメリットが小さい。 |
50 Gbps |
- | ◯ | Ethernet においてはこれ以上高速なものは InfiniBand 兼用のチップを使っていることが多い。上位機種との価格差が小さくメリットが小さい。 |
40 Gbps |
◯ | ◯ | Ethernet ではコストパフォーマンスが悪く、InfiniBand では既にほぼ使われてない。 |
25 Gbps |
◯ | ◯ | Ethernet においては低速 NAS 向けとしてコストパフォーマンスが良い。InfiniBand では既にほぼ使われてない。 |
10 Gbps |
◯ | ◯ | Ethernet は大容量データを扱うクライアント向けに普及が待たれる。InfiniBand では既にほぼ使われてない。 |
2.5 Gbps |
- | ◯ | 現状既に無線LANより遅く、同じ Multi-Gigabit Ethernet に 5Gbps があるためコスト以外のメリットは小さい。 |
1 Gbps |
- | ◯ | 一般家庭で広く普及しているが、無線 LAN より遅く、普及率と導入コスト以外のメリットは小さい。 |
クラスタや DeepLearning、SSD や 32GB 以上のメモリを搭載する NAS では 200Gbps の InfiniBand、同時に 10台以上の計算サーバもしくは 20台以上のクライアント PC からアクセスされる NAS では 100Gbps 以上の InfiniBand、同時に 5台以上のクライアント PC からアクセスされる NAS では 25Gbps 以上のイーサネット、クライアント PC は 10Gbps 以上のイーサネットとすることが本来のコンピュータの性能を活かす上でひとまずの目安になると考えます。
HPC TECH Sales : KJ