2020/05/12
TECH Report は HPC テックスタッフからの情報発信です。
Intel Xeon Refresh が販売されました。型番の数字が変わるのではなく型番の最後に R が付きます。
リフレッシュされて以前とどの程度の性能が違うか今回は Xeon Gold 6248R と Xeon Gold 6248 を使って調査をしました。
まず検証環境です。
基本的なソケット等は同じなので、マザーボードの BIOS と BMC のファームウェアをアップデートするだけで使えるようになります。
検 証 環 境 | ||
環境1 | 環境2 | |
CPU | Intel Xeon Gold 6248R | Intel Xeon Gold 6248 |
Motherboard | Supermicro X11DPi-N | Supermicro X11DAi-N |
Memory | 192GB | 192GB |
Disk | TOSHIBA MG04ACA100N | Intel 730 and DC/3610 |
性能を調べる方法はいくつかあると思いますが今回は HPL でその性能を見てみます。
N 値は 145600 にしています。N 値の根拠はありませんがメモリ量をあまり確保もしないというわけでもなく SWAP にあふれる事もないので採用しました。
単位は gflops です。
Xeon Gold 6248R は Xeon Gold 6248 より2割程度性能がよさそうです。
単純なコア数と動作クロックの増加がこの性能差になった要因だと考えています。また CPU のコストに関しては Xeon Gold 6248 よりも 10~20 パーセント下落しているため単純な価格性能比だけであればかなりメリットのある製品であるといえます。
コストが下がって単純に性能が上がっただけかと思いきやネガティブな面もあります。
一つ目は QPI の本数が少なく 2CPU までしか使えない事です。4CPU が組めないため、4CPU 構成が必要な場合は今まで通り以前の CPU を使う必要があります。
二つ目は発熱です。TDP が 205W と大きく上がったため冷却のハードルが上がっています。 以下は計算中の CPU 温度をモニタしたものです。
Tcase 温度(赤線)はヒートスプレッダの許容できる温度なので、これを超えると発熱による性能低下やハングにつながる可能性があります。TDP が同程度の CPU では水冷構成が望まれるので、この CPU も同じ傾向にあると思われます。空冷での運用を考えると、冷却のために FAN をフル回転させる必要があることと、温度の調整(吸気温度を下げる等)が必要なので、空調、騒音対策、両面でサーバールームでの使用が無難といえます。 また、ワークステーションとして居室に置いて使うためにアクティブタイプのヒートシンクを使って冷却する方法もありますが性能は多少下がります。
以下はアクティブクーリングとパッシブクーリングを比べたものです。
単位は gflops です。
アクティブ空冷では大体1割程度の性能低下がみられます。
今回は CPU 構成のテスト結果をあげていますが実際に使うとなると GPU 等が欲しくなるため、全体的な電力や熱源の管理、調整が難しくなります。
リフレッシュの前後で比べて、大体 20 %程度の性能向上が確認できました。ただし必要電力の増加とそれに伴う CPU 温度の上昇、UPI が少なく最大 2 ソケットまでしか使えないなどのデメリットもあるため、単純な上位互換とはいえません。CPU 単体の性能は良いもののシステム全体では調整が難しくなったイメージです。
HPC TECH Laboratory Staff