2018/06/12
COMSOL Multiphysics 用ワークステーションを導入頂きました。
東京理科大学工学部機械工学科 元祐昌廣准教授にお話を伺いました。
東京理科大学 元祐研究室様は、ナノ・マイクロ・ミリメートル領域における微小スケールの熱流体現象のセンシングと高度制御の観点より、新しい熱流動制御、マイクロ・ナノデバイスの開発、高度熱流体センシング法の開発に関する研究をされています。
▶ 物性制御による微小空間での熱流動制御
小さなスケールほど物性の影響が顕在化する特性を利用して、光や電場などの外場を用いて電気 / 熱物性の分布を制御することで発生する物性勾配を駆動力とした熱流動現象について研究しています。
▶ 高機能マイクロデバイスの開発
近年、微細加工技術を用いた Lab on a Chip、あるいは microTAS と呼ばれる超小型熱流体機器が盛んに開発されています。本研究室では、Point-of-Care (POC)、あるいは in situ 検出を目的とした医療診断や環境分析用のマイクロデバイスの開発を行っています。
▶ 医療応用のための熱流体センシング
治療や医療デバイスの有効性の評価や診断や治療の指針として、熱流体工学からの知見を役立てるための研究を本研究室では行っています。主にセンシングの視点からのアプローチで、基礎病理から医療現場までの幅広い応用を目指しています。
▶ 光学的熱流体センシング手法の開発
これまでに計測することができなかったような現象の定量化を目的とした新規熱流動センシング手法の研究開発を行っており、微小スケール流体温度計測法、3次元自動流れ計測装置システム、単一ナノ粒子センシング手法、細胞ダイナミクスの計測法などを開発しています。
▶ 物性制御による微小空間での熱流動制御
102~103 オーダーの比較的低い Re 数域における、はく離流れや噴流などの高度な流動制御のためのアクチュエータの開発、ならびにはく離検出のためのマイクロセンサ開発を行っています。
▶ 東京理科大学 元祐研究室 ホームページ
http://www.rs.tus.ac.jp/motlab/jp/
Motlab
Micro / nanoscale thermofluidics research group
元祐研究室の研究テーマの一つである 『マイクロ流体デバイスの流動現象の解析およびデバイス設計』 の研究を、これまで実験中心で行なってきましたが、デバイス内部の現象に対してシミュレーションを行うことでより詳細なメカニズムを把握したいという要求があり、また、実験デバイスを作製する前段階での性能の事前評価を実施できればと思い導入しました。今まではパソコンに COMSOL Multiphysics をインストールし使用していましたが計算規模が大きくなるに従い計算速度がとても遅くなり、時々収束しない事なども起きた為、研究に支障をきたすようになりハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)の導入を考えるようになりました。パソコンに比べて高価なので導入前にどのくらい効率が良くなるのかを確かめたかったので、以前よりコンタクトのあった HPC テックさんに貸出機をお願いしました。
▶ 計算機比較
今まで使用していたPC | 貸出機 HPCT W114s COMSO-Tune |
|
---|---|---|
Intel Core i7 960 x1 (3.20GHz, 4Core) |
CPU | Intel Xeon E5-2697v4 x2 (2.30GHz, 18Core) |
DDR3-1600 16GB | RAM | DDR4-2400 256GB |
なし | SSD | 480GB Intel SSD 6Gb/s |
1TB 6Gb/s 7200 rpm | HDD | 1TB 6Gb/s 7200 rpm |
NVIDIA GeForce GTX 420 (1GB Memory) |
VGA | NVIDIA Quadro K420 (1GB Memory) |
▶ 比較結果
比較計算用にマイクロ流路内流れ計算のモデルを使用しました。規模を大きくしながら
1ジョブずつ行い計算時間の比較を行いました。下記が結果になります。
現PC | HPC テック社製 | |
---|---|---|
00:20 | >> | 00:10 |
01:20 | >> | 01:00 |
01:30 | >> | 00:50 |
03:20 | >> | 01:40 |
27:00 | >> | 16:00 |
計算速度にある程度の向上が見られたことに加えて、パソコンではメモリ不足でできなかった3次元計算ができるようになったため導入いたしました。本格的に使うのはこれからですが、複数のジョブを投げてもそれなりの計算速度があるので、今後はさらに活用して実験用デバイスを製作する前段階での性能評価などにも使い、マイクロ流体デバイスの流動現象の解析およびデバイス設計の研究をさらに進めていきたいと思います。