2014/06/06
▶ 概要
日東紡音響エンジニアリング株式会社様の騒音予測ソフトウェア“GEONOISE”と3次元時間領域差分法プログラムをインストールしマルチコアCPUの比較検証を行いました。
▶ 比較した製品
・某社製:AMD Phenom2 X4 Model 945搭載計算機(3GHz,4Core)
・HPCテック製W190a:Intel Xeon IvyBridge E5-1620v2搭載計算機(3.7GHz,4Core)
・HPCテック製W210s:Intel Dual Xeon IvyBridge E5-2687wv2搭載計算機(3.4GHz,8Core)
▶ 検証者
日東紡音響エンジニアリング株式会社 テクニカルブレイン 鶴 秀生 様(理学博士)
▶ 騒音予測ソフトウェア“GEONOISE”について
地形、構造物などによる回折、反射の経路を自動的に探索して騒音の予測を行うソフトウェアです。工場、道路、鉄道、航空機などの騒音伝搬を計算し、広域の騒音レベルの予測を行う事が出来ます。
▶ 特徴
・地形、建物による反射、回折の影響を考慮。また吸音率の影響の考慮可能。
・長距離の場合は空気吸収の影響も考慮。
・地形、建造物の鳥瞰図表示ならびに得られた音圧分布のコンター表示をサポート。
・音源の形状や吸音率等のファイルは、すべてテキストファイルを使用することで編集を簡易化。
・ブロック入力のよる簡単なモデリング。
・多彩なアウトプット。
・独自の高速計算アルゴリズム。
▶ 資料リンク
・騒音予測ソフトウェア GEONOISEカタログ
http://www.noe.co.jp/download/pdf/geonoise.pdf
・[技術ニュース] 工場・事業場の騒音シミュレーション
http://www.noe.co.jp/technology/33/33news7.html
・[技術ニュース] 航空機騒音の新評価指標Ldenの予測と基礎調査について
http://www.noe.co.jp/technology/32/32news3.html
※このベンチマークの著作権は日東紡音響エンジニアリング株式会社様にあります。
ベンチマークテスト結果(検証日:2014年5月9日)
[A] 幾何音響騒音予測プログラム“GEONOISE”での計算時間の比較。
[B] 波動音響(時間領域差分法)での経過時間の比較。
計算結果の騒音分布図
・コンター計算において、評価点に対する並列化
・OPEN MPによらない並列化
・計算時間の比較
上記の表では“Intel CPU”の方が速く、スレッド数に応じて計算時間が短くなっている事がわかります。実コア上では計算機Bの4スレッドと計算機Cの4スレッドでの時間差は0.5秒で、マルチスレッドにした場合でも高速化された事がわかります。
幾何音響騒音予測プログラム“GEONOISE”はCPUの特性を活かし、シングルでもマルチでも高速化できるアプリケーションと言う事が分かりました。
・使用ソフトウェア:3次元時間領域差分法プログラム
・OPEN MPを用いた並列化
・100×100×90の自由空間の伝搬
・100ステップ分時間を進めた時に経過した時間
計算機A、B、Cではスレッド数にほぼ比例して速くなっている事が分かりますが、計算時間の速さではこの時間領域差分法でも“Intel CPU”の方が早い事が分かります。ただし、計算機Bにて実コアでは高速ではありますが、マルチスレッドにした場合に若干、実コアよりも遅くなる結果が出ました。これはマルチスレッドが整数処理と浮動小数点処理、マルチメディア処理というように異なるパイプラインを多用するアプリケーションなどに有効なので、このような計算時間の結果が出たと思われます。
時間領域差分法においてはスレッド数に比例してどのCPUも高速化がなされておりますが、GEONOISEを使用した計算時間の短縮においては、Intel社のCPUが性能向上に大きく貢献し、Intel社 IvyBridge E5-2600v2シリーズの16コア等のマルチコアCPUは更に有利であると言えます。
以上です。
鶴様、ご多忙な中、動作検証をして頂きまして誠に有難うございました。
これからも宜しくお願い致します。