2020/06/16
TECH Report は HPC テックスタッフからの情報発信です。
その昔、計算機はそれぞれ各メーカーが独自の考え方やアーキテクチャをもとに製品展開が行われしのぎを削ってました。ときにはそこでそれぞれアーキテクチャの違いにより性能の優劣がつけられておりました。 現在のクラスタシステムは計算ノード内 CPU や GPU、メモリ容量、ストレージ容量、ネットワークスイッチ等をユーザー自身で選択することが可能となっておりご自身が求める処理能力を得る事ができます。一方でシステム構成は計算ノード機材は A 社、ネットワークスイッチは B 社、ストレージは C 社、OS はフリー OS である CentOS などと様々な会社や団体毎の製品によって構成されることが多く障害発生時に問題の境界線がどこにあるのかなど複雑な側面もあります。
そこで我々営業がシステム提案を行う上で悩むポイントを文系出身の営業の視点からお話をしてみます。
技術的なメニューをご希望の方は、はじめに弊社のエンジニアが書いた
[TECH Report] HPC クラスタシステム を読んでください。
我々が真っ先に知りたいのはお客様の計算内容です。今の計算は何日かかっているのか? どれくらいに短縮されたいのか? 実際にお客様が行っている計算内容がどのようなものか、商用アプリケーションは何をご利用になっているのいか。クラスタ計算機を使用されているお客様ですから並列計算主体だろうと思いますが、その並列計算がどのような内容なのかを教えてください。
次に計算機をご利用になる人数です。例えば今は少人数で利用しているけれども、今後は大人数で利用したいということであれば公平性を保つためジョブ管理システム導入が必要になってきます。設置場所によってはラックや PDU 等の付帯設備や工事が必要になってきます。
最後にいわずもがなのご予算です、限られた予算内でそれぞれの構成部材のバランスを決める大きな要素になります。
上記のヒアリングから我々営業は構成部材の選択に進みます。
CPU
なんといってもここが一番悩みます。シンプルにクロックが早いものを選択すれば良いのですが、並列計算の種類によってはコア数が多い方が結果的に有利な場合があります。一般的にクロックが早い CPU は Core 数が少なく高価であり、お客様のお持ちの予算のなかからクロック・コア数・キャッシュサイズなどを総合的に判断しながら絞っていきます。幸い現在では Intel 製の他に AMD 製の選択も可能となっております。
Intel Xeon CPU ならクロックは 2.0GHz~ 3.80GHz,コア数なら8コア~28コア
AMD EPYC CPU ならクロックは 2.0GHz~ 2.90GHz,コア数なら8コア~64コア
GPU
並列計算の種類によっては CPU ではなく GPU の方が性能が良い場合があります。
こちらについては
[TECH Report] HPC 貴方に合った最適な GPU 計算機とは を参照してください。
Memory
実際にお客様が行っている計算内容と今後目標とする計算規模から目標値を定めます。お客様の計算内容によっては現状のメモリ容量で十分と判断されることもよくあります。
Network
計算中に他 CPU との通信がどの程度発生するのか、負荷はどの程度なのかをベースに検討します。その特性によって 10G Ethernet、InfiniBand 等の機材を選択します。InfiniBand は 100、200Gbps と高速ですが Switch は最小 40Port 150 万円からのスタートします。状況によっては 10GEthernet での提案をさせていただく事もあります。
Storage
今後のご利用にて見込まれるデータ量の増大やデータの重要性などからトータルの容量や RAID 構成などを検討します。弊社では管理ノードにデータを保存しておくファイルサーバ機能を持たした 6TB~14TB までの HDD 構成での提案が一般的です。
弊社では以下の URL にて様々なストレージシステムをご用意しております。是非ともご参考にしてください。
ストレージサーバ ソリューション
https://archive-lib.hpctech.co.jp/hardware_category/storage_server
クラスタ計算機の構成にはこれといった王道的な構成はありません。ご利用になるお客様の数だけ最適な構成があります。弊社はいままでの経験およびベンチマークテストを経て最適な構成をご提案させていただくことを目指しております。お客様のご協力の下、テストプログラム、データをご用意いただき弊社ではテスト機材を用意し、実施します。このテストは様々なケースを行うため数日間かかることもよくあります。そこで計算の傾向を見定めます、それでも見定めることができない場合はお客様にご無理を言ってテスト用データを再作成してもらうこともあります。実際にそのデータを作成いただき実施をしたところ、想定した結果と大きく異なり提案構成が大きく変更になったケースもありました。
今回は紙面の関係でソフトウェア環境については記述を割愛しておりますが、上記のポイントの他、今までにご利用になっているシステムや今後のシステムに求めるもの、H/W、S/W に限らず何でも弊社営業にご相談いただければ幸いです。弊社営業からもいろいろとご質問をさせていただきますが、それらのすべての情報がご提案に際しての我々にとって大きなてがかりになりますので何卒ご了承ください。
HPC TECH Sales : M